どんな形であれ、一度縁を持った故か、どうしても内定先のタクシー会社のことであったり、そもそものタクシードライバーという職業に対して意識が向かってしまうことがある。ネット掲示板でタクシードライバーについてレスが書かれていればつい読んでしまうし、ニュースでタクシー会社の〇〇が~~なんて出ていればつい注目してしまう。
リクナビやマイナビで、つい元内定先のタクシー会社のページを見てしまう。
こんなきれいごと書きやがって、俺は真実を知っているぞ。
俺が辞退した会社はこんな待遇なんだよな~。
内定者がいっぱい逃げてまだ募集してたりするのかな?
などなど、色々卑しい気持ちでチェックしたりするが、その卑しさはむしろ建前で、本音では心のどこかでタクシーに対する未練があるのかもしれない。
ついつい、先輩社員のページであったり、選考会の参加募集のページをチェックしてしまう。
いや、正直に言ってしまうと未練はある。ほんの少しだけ。
自由な働き方、上下関係の緩さ、運転の楽しさ・・・確かに魅力に感じる。
働き方改革などと謳われて久しいこの世の中、こんなフリーな働き方はあるだろうか。
様々な取り組みやアプリの開発、業務提携でタクシー会社がニュースをかっさらうことも今年だけで何度かあった。目まぐるしく変化が起き、日々何かが良くなっていくタクシー業界に対しての妬みも少しある。
「新卒 タクシー」などで検索する。
実際に新卒で入社した若者の記事であったりブログであったりがウェブ上に華やかに踊る。どれもみんな楽しそうだし、働き甲斐を感じているらしく、タクシードライバーという肩書が輝かしく見える。タクシーなんて誇ってバカらしいと思いつつ、周囲の目線を気にしすぎて、おいしい選択を間違えたのか?と一抹の不安さえ覚え、とても不安定な気持ちになる。
一方で、新卒で入って後悔した、退職した、おすすめしない、と書かれているブログを見つけるととても落ち着く。そうだよ、わかってるじゃん。あぁ、やっぱこの道は避けて正解だったんだ・・・等と考えつつ、そこに書いてあることを何度も読み返し、自分の取った選択は間違いではなかったんだぞ、と噛み締める。
人間、自分の気に入らない情報は切り捨て、好みの情報だけを選択して集める傾向があるという。自分の好きなものを褒めるコメントにその通り!と感じる一方で、アンチコメントにこいつは何もわかってない!とムカついたりするのと同じだ。今自分の行っているのはまさにそれではないだろうか?タクシーに対して感じる未練に対し、それをバサっと切り捨てられるようにタクシーは悪だ、後悔する、そんな情報だけを好んで集め、自分の選択は正しかったと自分に言い聞かせたいだけなのかもしれない。
もっとさかのぼってしまえば、内定を取った瞬間から、タクシーに感じていたほんのわずかの負い目や不安がトンチンカンに膨らみ続け、マイナスの面だけをやたらと見つけたり揚げ足を取ったり、タクシーの本当の魅力や業界の有り様をしっかり理解しようとしていなかったのでは?とも思う。
自分の選んだ道は、本当にこっちで良かったのだろうか?
タクシーという道は、本当に愚かな選択だったのか?
自分の集めた情報は、本当に真実か?公平な目線か?
自分の感じ方がおかしいだけではないのか?
自分に都合の良い情報しか、見てなかったのでは?
そんなナーバスになってしまう時がしばしばある。