内定式へ行ってきた。
もともとのモチベーションが低いこともあってか、実に苦痛な時間だった。
内定先の内定式は前段と後段に分かれており、前段は通常の真面目な内定式。後段は懇親会となっている。
前段の真面目な内定式、会長や社長から訓示がある。
特に会長の話は中々に興味深いものがあった。
会長をやるだけある、ポケーッと話を聞いて適当にスケベな妄想でもしているつもりだった私ですらいつの間にか聞き入ってしまっていた。なにより私に刺さるセリフが飛び出し思わず熱いモノがこみ上げてきてしまった。
「両親から何か言われてる人、不安に思ってる人、多いでしょう」とまさに私のツボを突いてきた。そこでこの一言だ。「新しい仕事やビジネスというのは、いつだって最初は世間に受け入れられてこなかった。今、みなさんがタクシードライバーになると言って浴びているものはまさに『それ』だ。」
この話を聞き、思わず内定先に入れることへの誇りや喜びを感じてしまった。
そうか、世間の批判があるのは理解が無いからだ。
理解を広めるため、なにより業界を若い力で盛り上げるため、この会社で骨を埋めよう・・・。
そして一瞬で我に帰る。マズイ、洗脳されかけたか。
手口に詳しいわけではないが、この場で使われたのはいわゆる不安商法の手口と似ているであろう。
相手の不安や心配につけこみ、これをすれば改善する、これを持てば好転すると相手に伝え、精神コントロールを得るやり方だ。
・・・洗脳扱い、詐欺師扱いは流石に失礼であるが、要するに心が揺らぎ、内定先で就活を終わらせようと思ってしまったのだ。
だがこの揺らぎはすぐに落ち着く。後段の懇親会がヒドかったおかげだ。
後段の懇親会、内定者や会社関係者との交流の場であることは事前に承知しているので、少なからず無礼講ありきのフリースタイルな場になることは想定していた。
しかしフリースタイルすぎた。特に会社関係者が。
会場に入るなり嫌な予感はした。
会長や社長を始めとした役員たちのコスプレ。これが実に滑っていた。
はやしたてとして「ﾋｭｰﾋｭｰ」だの「○○（人名）ｯｰ!!」がやかましく飛び交う。会社関係者から会社関係者に向けて。完全に身内だけで楽しんでいる。
内定者はドン引きだった。ノリへの付いて行き方が分からない者、知らない人に囲まれる中で萎縮していた者、完全に嫌気がさした者・・・。
まぁ簡潔に言えば「極限までタチを悪くしたウェイ系のノリ」だったわけだ。
「なーんだ、陽キャのノリについていけない陰キャの愚痴かよ・・・」と思われるかもしれない。実際それはある。
だが陽キャとか陰キャとかではない。ニュアンスの違いではあるのだが、
まともなウェイ系なノリが
「これやれば盛り上がるでしょ（他人からのウケを前提）」だとすれば
懇親会のノリは
「これやれば盛り上がるでしょ（自分たちの楽しさ優先）」
これぐらい違うのだ。
それでも、舞台上で社員達が勝手に盛り上がったりしているのなら、そ知らぬ顔で時間を潰したりトイレへ逃げ込むのだが、全員参加型のゲームまで企画されていた。逃げられない。
本当に苦痛だった。飲料と食事が自由であったことが唯一の救いであった。
そして名前や役職は存ぜぬがとある役員がさらっと言った発言が実に引っ掛かる
「俺に騙されて入社した集まりなんだから頑張ろうな！」
上記の全員参加型のゲーム、チーム分けが「最終面接に立ち会った役員ごとに別れたチーム」として組分けられていた。
そんななかで、とある役員がチームメンバーにゲームへの意気込みとしてかけたセリフがこれだ。
・・・いくらなんでも、酔っていたとしても倫理的にありえないだろう。聞き間違いであることを祈る。
あったことを全て、ありのままに書こうとしたのだが、色々とごちゃごちゃしてきた。
とりあえずはここで一旦まとめよう。
