だいぶ間が空きましたが、続きです。
- 5:00 起床 出勤する運転士の確認
5時起床という名目ではあるが、起床=始業みたいなものなので、実際はもう少しはやく起きる。5時始業ということは、それまでに最低限の身支度や準備を終えなければいけないため、早い人は30分近く早く起きることもある。
自分の場合、身支度なんてものはほぼしない(なんとまぁ不潔なんでしょう)のでそこはカット、食事は前日に買っておいたおにぎりを1個~2個食べて終わり。
さて、始発バスや朝ラッシュに備えてどんどん乗務員さんが出勤してくるので、ここから一日の仕事が始まる。
ほんとうに何も無ければ、退勤の10:00までにやる仕事というのは実はこの「乗務員さんの出勤確認」だけなのである。
その出勤確認というのも、〇〇さんはxx時出勤というのをずらずら~と書き並べた一覧表があるので、それにマーカーペンで2つの色を付けていくだけである。
まず1つの色が「営業所に来てるかどうか」、これは営業所に入ってきて顔を見せたかどうかで判断する。顔見せてりゃ出勤だろ、と思うがここは交通機関であるので、ただ顔見せてればバスに乗れるというわけでは無いのだ、
2つ目の色が「飲酒検知をやったかどうか」、飲酒検知器を吹いたかどうかで判断する。これが一番大事であり、この飲酒検知を行っていない乗務員だったり、引っかかった乗務員はバスに乗ることが出来ない。
2つの色が揃って初めて出勤した(=バスに乗る最低限の準備が整った)という扱いになる。
んで、何も無ければこれをひたすら続けて退勤時間を向えて引き継いで終わり。
が、そう一筋縄ではいかないので日常である。
これはよくある。車両のどこかが壊れてしまってどうしよう、という無線が飛んできたりする。その場でさっと解決できるものや、運行終了までそのままで走って大丈夫なものであれば把握だけしておいて引き継げばいいのだが、車両交換をしなければいけない場合はちょっと厄介。交換できる場所を確認し、代わりの車を探し、工場の人に車両を持って行ってもらうのだ。そして車が変わったら色々な書類やシステムを打ち換えなければならない。
いろんな人に声かけたり、修正するのが手間なのである。
- 突発休み
運が悪いと2,3回に1回ぐらいは巡り合う。ましてこのご時世であり、ワクチンの副反応がひどいから休ませてくれ、という電話は頻繁にかかってくる。
午後から乗る人であれば多少時間の猶予があるので対応策を考えられるのだが、朝イチから乗る人で早朝いきなりお休みの連絡が来たらさぁ大変。
そんなときに備えて「予備」と言われる、突発で何かあった時に乗務するためのスタンバイ要員が用意されてたりする。
が、この予備で対応できるのも午前中や長くて夕方まで。空いてしまったダイヤ次第ではまた複雑な対応をしなければならなくなる。
配車・操車をやる人達にとって一番負担やストレスになり、憎い仕事なのがこの突発休みなのは多分言うまでもない。
- 遅延
電車と違って一般車ありきの運行をしているのがバスである。
そうなると避けられない問題が事故や渋滞でバスが遅れることである。
といっても、ある程度遅れることは前提のダイヤが組まれているワケであって、そこまで酷いことになることは滅多にない。
どうしても解消できないような規模の遅れが出てしまった場合、それこそ「予備」の人に臨時便で入ってもらって運行間隔の確保や遅れた乗務員が元の時間に戻れるように采配を振らなければいけない。
はてさて、バス会社で起きるトラブルというのはある程度パターンが決まっているので、こういう時はこういう対処を取らなくちゃ、というのが方向性としてあったりはする。
しかし方向性があるからと言ってスムーズに対応が出来るというわけではない。その突発性と緊急性ゆえに、判断は高速かつ正確であることが求められ、それを的確に指示として乗務員や現場へ送らなければいけない。これがとってもストレスになるし、もしかしたら起きるんじゃないか、と考えて構えることがもう大きな負担になってくる。
そしてこの瞬時の判断を基本的には全部一人で下さなければいけなくなる。責任感であったりやらかした時のリスクを考えると「これをやってしまっていいのだろうか…?」という恐れすら感じる。
そしてなにより、一番困るのがこちらが建てた算段を「嫌だよ」と言われればすべてが破綻するところだ。
突発の代車や臨時便を乗務員にお願いしなければいけない状況で、お願いしても断られることは多々ある。
緊急なんだし文句言わずに走ってくれ・乗ってくれ、というのはこちらの理屈。乗務員にも休憩時間で予定があったり、疲れててもう勘弁してくれ、ってなるのはわからなくもない。わからなくもないが、やっぱり断られると色々と思うところを持ってしまったりする。
先輩との雑談や本社での研修で、こんなことを言ってるのをしばしば聞く。
「若手はだいたい配車(操車)でやめていく」
なんてことはない、みんなこの仕事のストレス・負担・責任の重さに耐えられなくなるのだ。
やってみたらわかる、こんなの一人に負わせていい仕事じゃないもの。